Archive for the ‘多様な「ものの見方、考え方」’ Category
政府交換留学生としてメキシコで学んでから50年になります
帰国時に招待頂いた大統領官邸でエチェベリア大統領ご夫妻と
私は、1972年から73年にかけて約1年間、日本・メキシコ政府交換留学生としてメキシコで過ごしました。他国の生活の中で「多様なものの見方、考え方」を学ばせて頂いたことやメキシコで育んだ友情は、その後の私の人生の糧となりました。
ロシアのウクライナ侵攻や新型コロナウイルス禍にあって世界は混乱と分断に陥っています。このように複雑化している今日、現政権の重要政策である人への投資の柱の一つとして留学制度の拡充を求めるものであります。留学先としては、世界の時価総額上位のほぼ全てがアメリカ企業である等々、いろいろな分野を学ぼうと思った時、アメリカ以上に奥の深い国はないと思います。しかし、国別のアメリカへの留学生の数は中国が32%、インド16%、でこの2国でほぼ半分です。サウジアラビア、韓国と続き、日本はなんと、2%までに落ち込んでしまっています。
出口治明立命館アジア太平洋大学学長は、著書教養としての「地政学」入門の中で、「今からでも遅くないので、日本は官民一体となって、アメリカを始めとして中国を含めた世界への留学生を増やしていくべきです。まずは、留学する学生に奨学金を出すことです。国が腹をくくって実行すれば、奨学金の額は、他の政策に比較すれば知れたものです。企業が派遣した場合には、全額その費用を税額控除すればいいと思います。」と提起されています。今後、アメリカを初め他国との深い人脈を形成するためにも、留学生の増加は必須です。
海外留学は先生の必須科目 ―国の制度として確立を―
教員免許の期限を10年とした「教員免許更新制」が廃止され、教員の資質向上に向けた、新たな研修制度の導入が今国会で決まることになりました。
更新制廃止は良い方向です。そこで私は、教員の新たな研修制度にぜひ、海外留学を必須にしてもらいたいと提案しています。
ロシアのウクライナ侵略等々、海に囲まれた島国日本では感じられない地政学が世界を闊歩している現実を教員の方々にぜひ学んでいただき、次世代の子どもたちにその体験を教えていただくことが、これからの日本の重要な教育課題だと考えています。
『1492年コロンブス新大陸発見』の多様なものの見方・考え方
私が中学校で学んだ世界史の一項目です。1972年から約1年間政府交換留学生としてメキシコで学んだ私にとって「1492年」のアメリカ大陸は、ヨーロッパ人のコロンブスにとっては、新大陸であり発見した年であります。
しかし、マヤ・アステカ文明を築いてきたネイティブアメリカンにとっての「1492年」は、その後自分たちの土地を追われ滅ぼされていった出発の年と捉える事もできます。
東洋の日本人である私にとっての「1492年」は、ヨーロッパ人のコロンブスとネイティブアメリカンの出会った年との見方も学びました。
「多様なものの見方・考え方」を学ばせてもらったメキシコ留学でした。
千教組印旛支部の大会へのメッセージより
20数年しか経っていない21世紀ですが、歴史の分水嶺に立っている今日、今後の日本をしっかりと見据え、「世界地図の中で考える」ためにも、海外留学は先生の必須科目です。